自創作 「ライトメア(WriteMare)」の設定まとめ これは、現実から目を閉ざした少女が目覚めるまでの物語。 作品のイメージ曲 GONG /WANIMA インスピレーション元作品 Re:Creators ・登場人物(Character)――――― @ 雨宮 遙花(あまみや はるか) cv.上田麗奈 本作の主人公で17歳の女の子。第二桜高校二年生。 一人称は「わたし」。 誕生日は「8月19日」 血液型は「O型」 身長は「158cm」 好きな食べ物はカップ麺とカロリーメイト。 嫌いなものは「たくさん」。 翡翠色のきれいな髪をセミロングまでに伸ばし、小ぶりの触覚ヘアと頭頂部のアホ毛がチャームポイント。 青い瞳も綺麗で、被造物達を引きつける魅力がある。 小さい頃から絵を描くことが好きで、自分だけのオリジナルキャラクターを作って創作をすることが趣味。 本作の舞台となる「夢の世界」は彼女の作った創作がモチーフとなっている。 コミュニケーションは苦手と自負しているが、距離の縮まった相手に対してはあだ名だったり、呼び捨てにすることもある。 穏やかで物腰の柔らかい性格だが、どこか物事に対して諦観している様な浮いた表情も見せる。 ネガティブすぎると言うことはないが自己肯定感が低く、思想や行動に対しての自信のなさが垣間見える時がしばしば。 ただ、自分にできる範囲のことはできるだけ頑張ってみる。健気で等身大な女の子。 現実世界で様々な要因が重なって現実逃避した結果、「夢の世界」へと迷い込んでしまった。 絵を描くことや物語を書くのが趣味。ただ、最後まで完成させられないという自信の無さと中途半端な完璧主義が災いした欠点があり、 本作ではそれが大きく関わってくる。 飽きたからやめたと言うよりは、正確には「もっと面白くできる」という創作者にありがちな悩みから 完成までこぎ着くことが出来ないというのがその実情。 それによって生まれたキャラクターや物語が目の前に現れ、彼女が現実で顔を背け続けたものと共に大きな壁として立ちはだかることになる。 服装は夢の世界にやってくる直前に着ていた第二桜高校の制服。 「想像したものを創造する力」を使う。 周囲のアイテールを用いて思い描いた物や現象を引き起こすことが出来る。 ただし、世界そのものを破壊したり敵を一撃で倒したりといった大規模な力は無意識なセーブが掛かり行使することは出来ない。 遙花は別になにかを攻撃したり壊したりしたいわけではない。その攻撃性の無さと、 そんな大それた事が自分に出来るはずがないという自己の過小評価が直に影響している。 あくまでちょっとした異能を扱える程度という事を念頭に入れること。 また、少しの間浮遊したり、歩行速度程度ながらも空中移動したりすることも出来る。 「"わたし"は"彼女(わたし)"と、素晴らしい、泡沫の夢を過ごしたのでした」 イメージ曲 自由に捕らわれる。 /カンザキイオリ 命に嫌われている /カンザキイオリ 私の最後の日 /ユアネス @被造物との関係 ・エルス 「責任」の役割を持っていた彼女との関係はこの世界の事実を打ち明けた後でも良好だった。 「恵まれた人もいれば、恵まれていない人も沢山いる。ぼくの世界もそうだけど、きみの世界だってそうだろう?」 「みんな生まれた時から平等じゃない。けれど決して諦めず、星(きぼう)を追って生きていく」 「ぼくたちが授かったこの尊い命を、ぼくらなりに生きていく。それが〝責任〟というものだと思っているよ」 ───── 両親は2年前、当時原因不明の昏睡状態として扱われていた夢幽病を発症し、現在も入院している。 当時は夢幽病という病名も研究も十分に確立されておらず、治療法も不明。 保険適用も難しかったことから医療費は膨らみ、家は売却せざるを得なくなった。 母方の叔父から同居を提案されるも、遙花は「これ以上迷惑を掛けられない」と断る。 賃貸契約だけを叔父に頼み、学校後のバイトで生活費を稼ぎながら一人で暮らしている。 他人に頼ることが出来ない彼女は、余裕のない生活に徐々に蝕まれていき、 大好きだった創作の筆も止まり、そうしてとうとう、自身も夢幽病に陥った。 @ アンネ(アンネリース・ヴィルミー)(Annelies Vilmy) cv.沢城 みゆき 夢の世界にやってきた遙花に幻聴や幻覚として干渉してくる実体を持たない被造物。 今の遙花の在り方を否定し、精神的な負荷を与える。 幻視として干渉してくる際でも、ぼやけてしか見えず彼/彼女の実態を知覚することは出来ない。 その正体は遙花自身の持つ自己否定のフラグメント。 影でしかない存在ではあるが、ぼやけた輪郭は遙花のようでもありオルロージェのようでもある。 姿が見えなかったのは遙花が無意識に認識することを避けていたため。 「アンネリース・ヴィルミー」という「Villains Enemy (悪役の敵)」をアナグラムさせた名前なのも、 「正義のヒーロー」であるオルロージェと似て非なる存在なのもそのため。 遙花と表裏一体の関係であり、オルロージェと表裏一体の関係でもあり、 三人は今の自分・理想の自分・実際の自分。これらを表す三すくみの関係となる。 遙花の自己否定の念によって彼女の無意識下で活動し、オムニヴァースの各層の被造物に真実を流布。 乗り越えるべき障害、向き合うべき現実として焚き付けていた。 第五層ではその正体を遙花に看破され、オルロージェと存在を統合する。 @ オルロージェ(Horloge) cv.石川由依 夢の世界に迷い込んできた遙花と初めて遭遇した被造物。遙花と同じくらいの歳の女性。 一人称は「ボク」。 身長は「165cm」 白髪の後ろ髪がツンツンしたヘアースタイルで、太くて長い触覚ヘアを下ろしている。 頭頂部から伸びる長いアホ毛がチャームポイントで、きれいな赤い瞳をしている。 自身の血液を操る能力を持ち、武器や防具の形に変形させて戦うスタイルを取る。 被造物としての自分の存在や「オムニヴァース」についても理解しており、遙花の歩みを直ぐ側で支える。 また、他の被造物のように「物語に縛られていない」ため、遙花と同じ様に様々な世界観を渡ることが出来る。 遙花は彼女の名前と風貌に記憶はあるが、どの物語に登場したのかや設定を思い出すことが出来ない。 オルロージェは遙花の選択を尊重しつつも、この世界に残ること。諦めることも尊重する。 しかし層を進むにつれて何故ここに来てしまったのか、何を避けてきたのかを徐々に思い出し、 4層の下、最下層に訪れた2人。 そこは夢の世界の端。最も現実世界との進行時間に齟齬が出る場所。 オルロージェは遙花にこの世界に留まるよう進言する。 オルロージェとは、遙花が作り出した、こうありたいという「自分の理想の自分/理想のヒーロー像」を投影したキャラクターだった。 遙花が現実の世界で見てきたものと同じものを見て、彼女の現実逃避を理解し、受け止める存在。 彼女は遙花がこの世界に留まることも現実に戻ることもどちらも尊重したうえで、 遙花をこの自由で苦痛のない世界に閉じ込めて救うために「ヒーロー」として立ちはだかり、 現実への帰還を決意した遙花は彼女に立ち向かう。 オルロージェは各世界観のラスボスの力と遙花が避けてきた道理の力を使って応戦し、 遙花も、誰かに頼ることが出来る少女へと成長し、各世界の主人公の力と歩んだ思い出と見つけた答えを手に立ち向かう。 そしてすべての層の力を使い切った両者はシンプルな格闘戦で最後の決戦を演じる。 最下層である5層。 名前もない、物語もない世界で、「痛覚」と「流血」という遙花が最も忌避するものを背負うヒーロー、オルロージェとの戦いが始まる。 そうして勝利した遙花は、ここに来るまでに各層のみんなと作ってきたドリームキャッチャーを持って現実に戻り、 その夢の世界での経験を小説として綴り、それが後の世に出るライトノベル「WriteMare」だった、というタイトル回収をして終わる。 彼女は現実から遠く離れた場所へ遙花を誘導しつつ、遙花が目を背けてきたモノに直面させることで 彼女の居場所、夢の世界にとどまり続ける選択も、現実に戻るために精神面を強くする必要もどちらも取れる状態で彼女の選択に託した。 遙花を救おうとしていた彼女は、「責任」と「役割」、「不自由」と「嫉妬」、「自己犠牲」と「調和」、「選択」と「正義」。 その身に課せられていた全てを解放され、逆に救われることになる。 自分を超えて、理想の自分へと生まれ変わった遙花の背中を見送って。 「ボクの名前はオルロージェ。キミをすくいに来たヒーローさ」 「『すくえるか』『すくえないか』じゃない、『すくう』んだ。何せボクは、ヒーローだから」 (一人称がボクになったのは遙花が中性的な口調、性格の女性のヒーロー像、もといボクっ娘に憧れを持っていたため。) イメージ曲 ツバサ /saji Serendipity /ZAQ ・血液を操る能力 形や強度は変幻自在で汎用性に長けているが、直接/間接的に接触していないと数秒後に能力は解除され普通の血液に戻ってしまう。 硬質化した血液を薄く、より強靭に仕上げることで刃を形成したり、厚く、大きい密度で仕上げることで装甲等を模倣し形成したり、 手/足の裏から硬質化した血液を返しの付いた鏃の形に形成し皮膚から突出、壁や天井等に打ち込む事で水平/垂直問わず縦横無尽に移動できたり、 釣り糸と仕掛けのような形に形成する事でアンカーとして利用したり、 グライダー型に形成し滑空を行ったり、身体中から針状に形成した血液を突出して諸共敵を串刺しにしたりと様々な戦術に応用が利く。 その在り方はナノマシンに近く、魔法のような派手な攻撃は行うことは出来ないが 血液の形を現実的に強度な組成に組み替えて戦う戦法は科学的根拠に基づく応用のため、存在強度が高い。 操作できるのはあくまで自分の血液のみであり、敵の血液に触れれば勝利が確定するなんてことはない。 その上、利用できる量についても自分の血液の最大量が上限になるため、使いすぎると貧血気味になりその場合は操作を解いて体内に戻す必要がある。 また、彼女が背負っているものも影響して、他の被造物と違いはっきりとした痛覚を持っている。 応用例 ・硬質化した血液を薄く、より強靭に仕上げる事で刃を形成する。 (Fate/衛宮士郎・エミヤの「投影」) (ONEPIECE/Mr.1・スパスパの実) ・厚く、大きい密度で仕上げる事で装甲等を模倣し形成する。 (Fate/エミヤ・熾天覆う七つの円環-ロー・アイアス) (ONE PIECE/武装色の覇気) (進撃の巨人/硬質化) (アイアンマン/トニースターク・Mk.50) ・手/足の裏から硬質化した血液を返しの付いた鏃の形に形成し皮膚から突出させる。 (ヤモリ 虫 登山シューズ 等) (進撃の巨人/女型の巨人・硬質化) ・釣り糸と仕掛けのような形に形成する事でアンカーとして利用する。 (スパイダーマン) (進撃の巨人/立体機動装置) (apex legends/パスファインダー) ・身体中から針状に形成した血液を突出して諸共敵を串刺し。 (ドラゴンクエスト/サボテンボール) (天元突破グレンラガン/グレンラガン・ギガドリルブレイクを放つ前の形態) 彼女が被造物として生まれたのはいつなのか。仔細はもう分からないが、遙花の小さい頃からずっと近くにいた存在であることは確か。 遙花の思い浮かべていた「誰か」。それはオルロージェという名を授けられ、理想のヒーローという殻を纏う。 辛い現実から目を逸らすため創作という物語に縋っていたこと。 どんなに辛いことがあっても前を向いて歩いて行ける理想の自分を思い描いていたこと。 そして何より単なる被造物だった自分達を一人の存在として愛していたこと。 その行いに悪意があろうとなかろうと主人公の思い描いた理想の自分を演じ、遙花を守り抜くことを決意する。 ・フラグメント(Fragment)――――― 全身が黒く、顔に縦の十字の傷が入った生物と思しきもので、オルロージェが名付けた。 人型をしており衣服を着ておらず、雌雄差はまばらで頭部だけのもの、片腕がないもの、四肢が変形しているものなど容貌は多岐に渡る。 その正体は遙花が描きかけのままにしてしまったイラストやラフスケッチの残滓に、深層心理が宿ったもの、 意識は持っておらず遙花の自責の感情によって動かされており、彼女を狙って追いかけてくるのもそのため。 彼らの行動も遙花による無意識な「自分を罰したい」という自傷行為にほかならない。 顔の十字の傷は、彼女がラフを書いた時にとったアタリが傷として残ったもの。 ・アイテール(Ether)――――― 目に見えないほど小さく、「夢の世界」の全てを形作っている物質で、哲学書や神話に登場する天上の物質・エーテルやマナのようなもの。 オルロージェが名付けた。 夢の世界にいる人間(キャラクター)はこれを自在に操ることが可能で、各自の能力を行使する際のエネルギーの源となる。 剣をイメージすればそのままの形で作り出せる上、炎をイメージすれば魔法のように扱える。 その完成度や強度は使用者の知識や想像力によって変動する。 ・夢の世界(DreamWorld)――――― 遙花が迷い込んでしまった世界で、オルロージェが名付けた。 空を飛べたりたまに走りづらかったり痛みが鈍かったりといった「夢」そのものの特徴を持ち、 遙花が忌避しているものが顕現し辛く、それが何かを思い出せないよう認識を阻害するような環境になっている。 この世界にいる間、現実の時間速度と大幅な乖離が生じる。 (現実世界の1秒が夢の世界内では1時間以上に引き伸ばしたような感覚になる) ・オムニヴァース(OmniVerse)――――― オムニバスとマルチバースの造語で、オルロージェが名付けた。 遙花の夢の世界の構造を指し、自身が現実で綴っていた書きかけの一次創作物語が複数折り重なって構成されている。 第一層・「アステライア(Asterraer)」 第二層・「摩天牢(まてんろう)」 第三層・「鉄底械響(てっていかいきょう)」 第四層・「SAVER(せいばー)」 各層をその世界の主人公たちと完成させることで踏破し、夢の世界の深部まで徐々に下っていくことになる。 また下層に行くにつれてフィクションから現実に近い世界観になり、遙花が最も避けたかった要素へと変貌していく。 現実に寄った世界観へ変わるにつれてアイテールで再現できる現象にもセーブが掛かり始める。 第一層では魔法が普遍的なものとして存在し、その世界出身ではない遙花でも同様の力を行使出来てはいたが、 第四層では極めて現実世界に近い法則が働いていることから魔法のような現象は発現しないかより弱体化して発現する形になる。 これらは無意識に定めた遙花のリミッターによる法則への制限であり、 より現実に近い世界観でもそういった現象を受容する意識のほうが強ければ、問題なく発現できる。 各層の主人公やテーマには遙花が忌避してきたものが関わってくる。 1層は星の勇者の物語。否応無く課せられた「責任」と「役割」がキーワード。 2層は少女の復讐の物語。「不自由」と「嫉妬」がキーワード。 3層は種族の対立の物語。「自己犠牲」と「調和」がキーワード。 4層は時間を守護者の物語。「選択」と「正義」がキーワード。 遙花は無意識に自分の避けたいものを主人公に課したり、世界観のテーマにしていた。 それを「自覚」し、向き合っていく物語こそが「WriteMare」ということになる。 @第一層・「アステライア(Asterraer)」――― インスピレーション元作品 ドラゴンクエスト 人の誕生と共に星が生まれ、人の死と共に星も臨終する、「そういう星の元に生まれた」を体現する人と星が結びついた世界。通称星の世界。 占星術から派生した独自の魔術体系を持ち、魔法や魔物がありきたりなものとして存在する。 舞台となる地球を含めた太陽系内惑星の力は各王国によって代々継承されており、主人公もその一人である。 各王国は大きな大陸の各地に存在しており、天動説の配置にうずまき、或いは円状に配置されている。 元来この世界はトーラスの形をした端のない世界だった。 しかしある時世界に壁ができた。各王国間の連絡は途絶し、異形の怪物が跋扈するようになる。 かくして最初の王国「エルスギア王国」から旅立ち、世界を今一度結ぶ、星を追う勇者「アステライア」として旅に出る。 *登場人物(Character) @エルス・ギア・アルター (Erth-gia-arter) cv.田村睦心 星の世界の主人公の一人で、地球の力を継承する王国「エルスギア王国」の王子で16歳の女の子。 立場や政治的な都合上王子という肩書を持っている。 一人称は「ぼく」 名前はアース(Earth)・ガイア(Gaia)・テラ(Terra)をアナグラムしたもの。 自分と魂が紐ついた星との距離が近いほど、よく見えるほど、またその星の光が強いほどより強い力を引き出せることができ、 逆に見えていない場合(地表から見て死角にある、或いは空の明るさの問題で視認できなかった場合)は力を引き出せない、 という法則が働くこの世界において最も強大な力を持つキャラクターの一人。 (例:) (太陽と結び付いたキャラクターは明け方から夕方にかけて力を発揮できる。) (月と結び付いたキャラクターは昼と夜に力を発揮できる。) (地球と結びついたキャラクターはいついかなる時でも力を発揮出来る。) 先代の王から地球の力を継承され、魔法使いの幼馴染「セレナ」とともに世界を繋ぐ旅に出る。 剣と魔法を同時に使う勇者/魔法戦士スタイルで戦い、地球の力を雷属性に変換して扱う。 魔法として使用するほか、身体強化にも使うことが可能で白兵戦での戦闘力はその齢とは全く見合わないものになる。 王子として、勇者として生きる「役割」を受け入れて生きており、その価値観が徐々に遙花を変えていく。 超方向音痴。地図があっても迷う。天然で優しく、落ち着き払っている様子と声色から女の子だと気付ける者はそういない。 「これぼくたちにしか出来ないことなんだ。遙花は優しいんだね。ありがとう。」 @セレナ・ルアン・ノーム (Selea-Luan-Noom) cv.花澤香菜 星の世界の主人公の一人で、月の力を継承していた亡国「セレナルアン王国」の末裔で16歳の女の子。 一人称は「わたし」 名前はセレーネ(Selene)・ルナ(Luna)・ムーン(Moon)をアナグラムしたもの。 この世界の法則に則って、エルス同様強大な力を持つキャラクターの一人。 今は既に亡き王国の末裔で、月の力をその身に宿して戦う。 回復魔法と攻撃魔法を巧みに使いこなす賢者スタイルで戦い、月の力を爆破属性に変換して戦う。 バッファーとしても優秀で、幼馴染同士の見事なコンビネーションで敵を翻弄する。 世話焼きで天然なエルスのお姉さんとしての自認があり、彼女のお世話に事欠かない。 辺境の王国出身だったため感情的になったり驚くと訛りが出る。 礼儀正しく、誰もの幸せを願う、等身大な女の子。 彼女もまた「役割」を受け入れて生きており、遙花の心に軌跡を残すことになる。 「わたしたちで出来ることをするだけです。お優しいんですね、遙花さん。」 「そっちじゃなかて!!地図ば見んね、こっちたい!!」 セレナ「あ゛~~~!!地図逆じゃん!!も~、本当てれっとしとっとだけん…(ブツブツ」 遙花「ふふ、本当の姉妹みたい」 エルス「うん、ぼくを引っ張ってくれる大事な妹だよ」 セレナ「……(ジト-」 エルス「…大事なお姉ちゃんだよ」 ────── セレナルアン王国はエルスギア王国から分家した王家。 滅亡の際に辛うじて救出されたセレナはエルスギア王国の血を引き、かつ月の力も引き継ぐ、二人目の地球の力を持つ勇者だった。 @シオ・パルサー (C・O・Pallsar) cv.松風雅也 星の世界の終焉を飾るラスボス。 エルスギア王国に仕える執事で、19歳の男性。 エルスギア王国郊外の生まれで、生まれ持つはずの星を持たない忌み子として孤児となり、 エルスギア王に拾われた経緯を持つ。 産み落とされた際、乳母が手をすべらせて地面に落ちた際の傷が額に残っている。 自身も自らの故郷(星)を持たないものとして生きてきたが、それがこの世界の摂理に反すること、 星がないのにもかかわらず他を圧倒する力を持っていることに疑問を抱いてきた。 成長する間に、この世界には黒く、暗黒の星を背負った魔王が降臨すること。 そして、その魔王には額に傷があるということを知る。 @概要 各国の連絡網が遮断されて数日、この世界に訪れた遙花はエルス、セレナ、オルロージェの4人で壁の調査と侵入/解除法の確立を急ぐ。 その結果諸国に赴き、国家間を魔術的な回路で繋ぎ直すことで解決することが判明した。 しかし、全ての国家を繋ぎ終えたとき、空が暗闇に覆われる。 遙花達が繋いだ大陸規模の回路はそのままイベント・ホライゾン・テレスコープの役割を果たしたことで、 「見えてはいけない」暗黒の巨星を観測してしまい… 大陸の国々はゼアルス大陸(Thearth)の中に天動説の渦巻き、あるいは円形に配置されている、太陽系も存在する世界がアステライアの世界。 つまり天動説と地動説の二側面を抽出して扱う法則が敷かれていた。 トーラス面、端に行ってもまた戻ってきてしまう構造。これは遙花の書きかけの世界が引き起こしていたバグだった。 アステライアの舞台は地球の一大陸だったのだ。 エルスたちが国々を繋ぎ直したことで、書きかけの世界が抱えていたトーラス状の歪みは修復される。 端へ向かえば元の場所へ戻ってしまう閉じた世界は、再び一つの惑星としての曲面を取り戻した。 だが、それは同時にシオの仕込んだ罠が完成することを意味していた。 大陸を巡る魔術回路は、星の曲面に沿って結ばれることで巨大な観測装置へと変貌する。 世界を正しい形へ戻すために繋いだ線は、そのままイベント・ホライゾン・テレスコープとして機能し始めた。 そして彼らは観測してしまう。 この世界には存在しないはずだった、光を放たぬ暗黒の巨星を。 終盤ではエルスしか力が使えなくなる状況に陥るが、セレナも力を使えることに気付く。 月が近いから?そうではない。 月はジャイアントインパクトによって生まれた地球の半身。 セレナの血筋、セレナルアン王国の王族にもまた、エルスギア王国の血が流れていた。 つまり、彼女は地球の力を半分と、そこに加えて月の力を同時に引き出せる。 彼女のエルスに並ぶ強さには理由があった。 月の光を失った今、ラスボス戦以前ほどの力は出せないが、それでも勇者としてエルスを支えるため戦闘に参加する。 セレナ「みんなも、シオも救うの。いこう、…おねえちゃん!」 闇に包まれた世界で、彼女は朗らかにエルスへと言葉を投げる。 二人の勇者は決して孤独ではなく、役割を分かち合う家族そのものだった。 シオについて パルサー、中性子星か。というミスリードを誘引しながらも実際はコラプサー(Collapsar)のアナグラム。 彼と運命をともにする星は、自ら光を放つ生きた星ではなかった。 彼は生まれた時に運命を同じくする星が生まれなかった。 故に忌み子として捨てられ、エルスギア王に拾われた。 捨てられた際の傷が額に残りはしたが、端麗な顔立ちの彼は王子につく執事としてしっかりとした環境で育てられた。 幸せな日々を過ごす中、偶然手に取ったとある古い本の記述を見てしまう。 「この世界には、暗き死んだ星を背負った魔王が現れる」 「そしてその魔王は、額に傷がある」 彼は直感する、これは、自分のことなのだと。 彼は生まれながらに、死んだ星を背負っていた。 勇者として育てられるエルスとセレナ。 そして滅びの役割を背負わされた自分。 彼は生まれついての役割を恨んだ。 星を継ぐ者、力を継ぐ者、国を継ぐ者、世界を救う者。 そうした名のもとに誰かの人生を縛る、無意味な継承の歴史を破壊してやると誓った。 彼はエルス達の旅路に細工し、国同士を結んだラインを使って望遠鏡として成立させ、自らの星を観測し力を引き出そうと画策した。 「運命がそう言っているのなら、私はその役割を背負おう」 「エルス様、セレナ様。私達は、真の意味で自由になるのです。」 かくして、遙花のシナリオではまだ決まっていなかった魔王という空席に、シオという被造物は自ら腰を下ろすことになった。 役割を破壊するために役割を背負う。その大きな矛盾に気付けぬまま。 @描写 第一層でのラスボス戦で、遙花の正体がバレ、エルスたちも被造物であり、この世界すべてが遙花によって作られたものだと明かされる。 「彼女がこの世界のすべてを作ったんです!エルス様、セレナ様、貴方方の背負ってきたもの全て!彼女のせいだ!」 「遙花」 隣に居たオルロージェが私の前に腕を広げ、エルスとセレナの反応を見やる。 当たり前だ。自分たちの不幸な人生が誰かによって筋書きされたものだった、なんてことを聞かされて冷静でいられるはずがない。 それが例え、長い時間を共に過ごした仲間だったとしても。 エルスとセレナは振り返ることもなく、ただ黙って眼の前の脅威のみを見つめていた。 少しの沈黙があって、エルスが最初に口を開いた。 「…そうなのかい?遙花。」 「君が"ぼくたちが不幸になる物語"を、望んで書いたのかい?」 「…あ……」 「そう」。たった二文字の言葉なのに、嘘でもなんでもない本当のことなのに、彼女の発した言葉に対して肯定することが出来なかった。 苦しい。そうだよ。わたしが書いたんだ。星の勇者の、悲しい物語を。寂しい、頼る人がいない、孤独な旅路を。 目が泳ぎ、口が震え、思考が追いつかない。 でも何かしないとと、自分の手をつねって、言葉をひねり出そうとしたとき。 「違いますよね。」 次はセレナが口を開いた。 「わたし、遙花さんを初めて見たとき、"わたしと同じだ"って思ったんです。」 セレナが放った言葉を飲み込めずにいるまま彼女は続ける。 「遙花さんも、孤独だったんですよね。」 刹那、忘れかけていた記憶が蘇る。 目覚めなくなった両親。課せられた「役割」。例え孤独でも、その命に「責任」を持って生きること。 一人の部屋。視界に広がる天井。様々なフラッシュバックが脳裏を駆け巡り、私は過呼吸になりながらへたりと地面に座り込んでいた。 「ぼくはね、こう思っている。」 「きみは悪くない。ただ、自分に課せられたいくつもの理不尽を共有してくれる人が欲しかったんだ。」 「詭弁です!!!それを受け入れる必要は貴方方には──」 「遙花、君は多分。『そう』って認めてくれようとしたんだよね。」 「でもさ、きみが生まれたこと。きみが見てきたこと。きみがこの物語を描いたこと。」 「そのすべてが本当に自分で望んでやったものだって、言える?」 「あなたが歩んだ人生すらも、もっと外の書き手が描いた物語だとしたら。」 「…そんな事考えだしたら、キリがないですよね。」 「だからさ。ぼくたちはたとえそうだったとしても、きみのことを少しも恨んだりしない。」 「あなたがいたから、わたしたちはこうして出会って、楽しくて、素晴らしい旅が出来たんです。」 「だから悔やまないで。」 「一緒に進みましょう?あなたの物語を完成させるために!」 わたしを見つめる二人の瞳は、どんな星よりも輝いて見えた。 みたいな描写を挟みたい。こと創作をテーマにした作品につきまとうのは創作者と被造物の関係性。 エルスとセレナはそれを知ったうえで、「遙花自体も、筋書きを歩まされている被造物でないと言える根拠はどこ にもない」という答えを示す。 そして彼女の纏う現実世界での疲弊と失望。その摩耗っぷりを見透かしており、自分たちは同じ理解者が欲しかったのだと言う。 この問題を後回しにせず、創作者と被造物がお互いに認め合い。許し合う関係として描こうと思っている。 ラスボスはブラックホールと魂を繋がれた敵で、エルスとセレナの役割に縛られた生き様を近くで見てきた執事。 生まれた時に結びつく星がなかった(あったが見えなかった)という理由から凶兆を齎すとして孤児になり、エルスギア先代国王に引き取られる。 それからは王国の執事として、じき生まれる王子を支えるべく育ち、そうあれと叩き込まれたように役割をこなそうとするが、 それでも重い役割を課せられたエルスとセレナをただ見ているだけのことは出来ず、彼らの解放を願っていた。 自らが生まれながらに持っていたが、この世界の性質上力を発揮できなかったブラックホールの力。 そして遙花によって「書きかけだった」ことによって元々分断された状態で進み始めた世界。 つまり、この分断された世界と国を阻む壁は遙花が訪れたことによって生じたのではなく、「もともとそうなっていた」ということになる。 黒幕はこの好機を逃すまいと、本来別にあったはずのラスボス枠に自ら収まりに行くことになる。 空が覆われたということは星が観測できないということ。 つまり、今自分の星に足をつけているエルス以外は無力化される。 その中で星の勇者は自分の役割を受け入れて、黒幕の憐憫を肯定し、それでもと立ち向かう展開になる。 レインメイカーが「電気と重力」を扱えるのは、この黒幕とエルスの力に起因する。 @第二層・「摩天牢(まてんろう)」――― インスピレーション元作品 CYBERPUNK:EDGE RUNNER ざくざくアクターズ デス・ストランディング ネオンに照らされたビル群や魔術的な遺構、縦横無尽に広がる交通網などテーマの一貫性に欠ける世界。通称夜の世界。 その本質は作りかけのキャラクターや建物といったフラグメント達が流れ着き、寄せ集められて成立したもの。 故に物語は存在せず、遙花の手を離れて独自のタイムラインで世界は進み、現在進行系で構築されている。 *登場人物(Character) @アリス・ルビオーネ (Alice Lubione) cv.坂本真綾 夜の世界の主人公の一人で、夜の世界に存在する唯一の街「ストランドシティ」をまとめる17歳の女の子。 ニックネームは「アルビオン」で一人称は「あたしちゃん」 設定上はいいところのお嬢様で、洋館の中で育てられてきた。 名前の由来はコラボレーション(collaboration)から抜き出してアナグラムしたもの。 (Albion to Coral) きれいな紫色のストレートのロングヘアで、たまに左目が隠れているほど前髪も長く伸ばしている。 左側にコーラルに編み込みを作ってもらっており、髪のケアも任せっきり。 どこか妖艶な雰囲気を醸し出す黄色い瞳。 左側の八重歯がチャームポイント。 秩序とは無縁なこの世界において、まとめ上げられる実力を持つ数少ない住人。 自身の「嫉妬」のような負の感情をそのまま炎エネルギーに変換して自在に操る。 違う世界の出身ながらこの世界に縛られる「不自由」を受け入れて生きており、その価値観が徐々に遙花を変えていく。 飄々としたお姉さんキャラを演じているがその実はポンコツなお転婆で我儘な女の子。 フラグを立てて見事に回収したり、調子に乗っていたら突然不穏な空気に傾いたりと様々。 「自分を縛る某(なにがし)だとか、何もかも燃やしちゃえばいいじゃんって、あたしちゃんは思うワケ。」 技 ・「業火拳乱(ごうかけんらん)(豪華絢爛)」。 拳に炎を纏わせ、対象へ向けて乱打を叩き込む。 纏った炎は拳撃に合わせて射出することも可能で、狙いを定めれば遠距離の敵にも直線状に飛ぶ炎を被弾させることができる。 ・「封鬼鋭火(ふうきえいが)(富貴栄華)」。 炎を先端の尖った紐状に再形成し、敵に打ち込んだりぐるぐる巻きにして身体を縛る事ができる。 アンカーとして壁や天井に打ち込んで身体を固定できるが、炎なのには変わりないため打ち込んだ楔部分は刺さった場所を焦がす。 ・「禍中火勢(かちゅうかせい)(華冑家世)」 自身の感情を最大限まで高ぶらせ、嫉妬による火の勢いを数段引き上げる。 身を焦がしながら戦うため、元々備わっている炎への耐性も貫通して本人にも徐々にダメージを与える。 @コルネリア・ミッドラル (Cornelia Midral) cv.林原めぐみ 夜の世界の主人公の一人で、アリスに仕える元メイドの17歳の女の子。 ニックネームは「コーラル」で一人称は「私(わたくし)」 名前の由来はコラボレーション(collaboration)から抜き出してアナグラムしたもの。 (Albion to Coral) 赤毛のボサボサした短髪で、前髪を上に向けてゴムで括っている。 アリスと同じ、どこか妖艶な雰囲気を醸し出す黄色い瞳。 元々いた世界では身寄りのなく、スラム街に身をおいていた。 ひょんなことからアリスのいる洋館へと辿り着き、忍び込んでいたところを彼女に発見されてからずっとメイドとして働いていた。 未だ野性味を感じる身のこなしと裏腹に、誰にでも敬語で接する丁寧な従者。 音を操る能力を持っており、彼女が館の敷地内に忍び込めたのもこの音を操る能力を使用したため。 自身が発する音の無効化や、逆に爆音にすることで敵の感覚器官にダメージを与えるほか、手に持った刃物に高周波を絶えず流し続け武器を強化などその用途は多岐に渡る。 本名は「コルネリア・ミッドラル」だが、当時の幼いアリスから 「呼びにくいから『コーラル』にしましょう?貴方の素敵な髪の色も、珊瑚のようで綺麗だから」 とアリスに提案された事から以降コーラルという愛称が定着した。 幼い日のアリスはとても瀟洒な女の子だったという過去を何度もほじくり返しては遠い目で懐かしみ、 今のアリスの起こす暴動を冷ややかな目で見つめる保護者。 ノリノリでお喋りにくるアリスを何も言っていないのに「嫌です」と追い返す光景はもはや芸として定着している。 アリス「おっはよ~!かわいいかわいいあたしちゃんだy──」 コーラル「嫌です(心底嫌そうな顔)」 アリス「まだ何も言ってないが!?」 第一層が糸を編んでいく物語だとすれば、第二層は糸を解いていく物語。 アリス「今からイメージを変えてあたしちゃんを最強にするとかできないのかにゃ?」 オルロージェ「難しいだろうね。──第一、そんな事をしてどうするんだい?」 アリス「う~ん……。────"世界征服"、とか?」 冗談を言っている時の彼女の口調ではなくなる。声は低く、目つきは細く、それでも口は笑っている。 アリス「じょ~だんじょ~だん!あたしちゃんはも~既に最強だかんね!」 @第三層・「鉄底械響(てっていかいきょう)」――― インスピレーション元作品 蒼き鋼のアルペジオ 86(エイティシックス) 突然現れたナノマシンで構成された高次元機械生命体「地底人」と、それまで地上を支配していた人類「地上人」が争う世界。通称海の世界。 地球史における「空白の10億年」。その期間に自らの身体を機械生命体に置き換えるほどの技術を持った人類が栄華を誇っていた。 しかし、宇宙開発競争を発端とした核戦争の勃発で文明は滅亡。 殆どの人類は放射線や電磁パルスによって機能を破壊されたが、ごく少数は機能停止しつつも地殻変動に揉まれながら 地下深くで再起動の時を待ち、化石のように眠り続けた。 そして現代。 二度の大戦。地下資源開発。地殻研究。 人類が再び「地下」と「海底」に手を伸ばした瞬間、彼らは目覚めた。 沈没した軍艦、遺構となった戦車、朽ち果てた戦闘機。 あらゆる鉄の残骸にナノマシンが乗り移り、再起動する。海底から響く、鉄の駆動音――「鉄底械響」を奏でながら。 機械に乗り移り地上への再侵略を始めた「地底人」と、それを防ぐ「地上人」との戦いが幕を開ける。 ――――――――― 第三層に位置する、少し未来の世界の物語。 通称「海の世界」。 人類はある日、世界中の電子機器のほとんどの操作権を失った。 現代兵器、通信網、ライフライン、航空機、艦船、車両。 デジタル制御されたあらゆる機械が、突如として人類の手を離れた。 その発端は、海底調査中に受信された謎の信号だった。 すでに朽ち果てたはずの沈没艦から発せられたその信号は、やがて一人の少女へと届く。 彼女の名はノア。 人体実験によって、かつて地球を支配していた「地底人」のナノマシン能力を宿した少女。 多数の被験者の中でも特筆して適性が高く、「No.α」と呼ばれていた子供だった。 ・世界の過去――― 数十億年前の地球。 「空白の10億年」と呼ばれる時代に、現代文明を遥かに超える人類が存在していた。 彼らは身体をナノマシンで構成し、電子ネットワーク上を移動し、生身の肉体を捨て去った次なる霊長類だった。 陸を支配し、海を支配し、空を支配した彼らは、やがて宇宙へ目を向ける。 しかし、宇宙へ飛び立つ権利と資源を巡って地上で争いが起こった。 核を用いた絶滅戦争へと発展したその抗争により、文明の大半は破壊された。核兵器の放ったEMPによって、多くのナノマシン体は故障し、辛うじて機能停止に留まった者たちも、地殻運動によって地球の深部へと飲み込まれていった。 そして悠久の時が流れ、現代。 ボーリング調査、海底調査、地下資源開発。人類が再び地球の深部へ手を伸ばした時、彼らは目覚める。 現代人から「地底人」と呼ばれる、かつての人類。 宇宙を目指すナノマシンの身体を持つ旧人類と、生身の身体で地上を取り戻そうとする現人類との戦いが幕を開けた。 *登場人物(Character) @ ノア (Noa)(No.α) cv.悠木碧 海の世界の主人公の一人で、ナノマシンの移植に成功した被検体。16歳の女の子。 一人称は「ノア」 名前は「No.α」と元々番号で呼ばれていた単語をそのまま読んだもの。 地上人の残存勢力によって主導されているナノマシン適応実験で生まれた被検体。 地底人との戦闘、また地上人側につく地底人達の協力もあり、ナノマシンを身体に宿す技術を手にした数少ない地上人。 現代兵器がジャックされ人類の生息圏が著しく制限されている現状を打開するため、 生き残った地上人は第二次世界大戦時に沈没した艦船を利用すべく深海調査を行う。 その際に軍艦「大和」に宿っていた地底人の1人「ヴァーヴェル」と同調したノアはナノマシン体のヴァーヴェルをその身に宿し、 戦艦大和を手繰る人類の希望として地上へと浮上するのだった。 ナノマシンを利用したハッキングやサイバーディフェンス、兵器と接続しての攻撃など多彩な技術を扱う。 兵器として生きる「自己犠牲」を受け入れて生きており、その価値観が徐々に遙花を変えていく。 感情の起伏が少なく、命令に忠実で自身の身体がナノマシンに置き換わっていく自我損失のリスクにも動じない。 「ノアがノアじゃなくなっても、みんなが笑って過ごせるならそれでいいの。」 ノアはやがて、ただ守るためではなく、失われた現人類の夢を取り戻すために戦うようになる。 @ ヴァーヴェル cv.三上哲 ヴァーヴェルは、「空白の10億年」の時代に戦っていた地底人の一人。 当時の言語は現代とは異なるため、現人類に合わせた名を名乗っている。 その名は、聖書において空を目指した人々が建てた塔に由来する。 かつて宇宙を目指し、しかし空から降った兵器によって滅びた自らの文明への、自嘲と戒めを込めた名でもある。 彼は元々、生身の身体を持つ人間だった。 だが国家間の緊張と軍拡競争の中で、全身をナノマシンへと置き換え、軍人として生きる道を選んだ。 戦時中は島嶼群殲滅艦として運用され、海戦の果てに撃沈。以後、海底で長い眠りにつく。 数十億年後、付近に沈没した戦艦大和の存在を感知したヴァーヴェルは、僅かに残されたナノマシン体を使って大和へ乗り移る。 長い年月をかけて分断された船体を修復し、現代の状況を探りながら、再び動き出す時を待っていた。 彼はノアと同調し、彼女の体内に取り込まれる形で一体化する。 その後、ノアは大和と接続し、ヴァーヴェルと共に戦艦大和を手繰る現人類の希望として海上へ浮上する。 ・ナノマシン――― 地底人の身体は、ナノマシンによって構成されている。 完全なナノマシン体であっても外見は金属質ではなく、光学機能によってほぼ現人類と同じ姿を取ることができる。 その動きは液体とは異なり、微細な生き物の集合体が流動しながら形を変えるようなもの。 ノアがナノマシンを操る際は、手のひらなどから体外へ析出させ、機械の端子や金属面へ接続する。そこから機体全体へナノマシンが広がり、構造を認識・制御する。 ただし、無限に増殖できるわけではない。 兵器を完全に制御・変形・自動修復するには、相応のナノマシン量が必要となる。少量であれば修復や接続は可能だが、本格的な運用にはナノマシン体を持つ人間の存在が不可欠である。 ノアの身体は物語が進むにつれ、少しずつナノマシンへ置き換わっていく。 痛覚が薄れ、味覚が失われ、眠る必要もなくなっていく。 彼女自身はそれを運命として受け入れようとするが、ヴァーヴェルは自分と同じ存在になってしまうことを危惧している。 ・現人類の戦術――― 地底人は現代兵器の多くを掌握している。 航空母艦、イージス艦、潜水艦、戦闘機、爆撃機、戦車、特殊車両。デジタル制御された兵器の大半は、現人類にとって敵となった。 そこで現人類は、地底人の干渉を受けにくい過去の兵器に目を向ける。 戦艦大和。 戦艦ミズーリ。 戦艦三笠。 零戦、震電、橘花。 ビスマルク、Uボート、スピットファイア、ティーガー。 デジタル制御以前の兵器をナノマシン技術で修復し、現代技術を加えて再運用する思想。 それが「オールドマシン・ドクトリン」である。 未来の技術と現代兵器を扱う地底人に対し、現人類は過去の兵器を呼び覚まし、アナログな戦術で挑む。 アルミを用いたチャフ、周波数妨害、電波撹乱、破壊工作。 デジタルとアナログ、未来と過去、機械と命の対立が、この世界の戦いを形作っている。 ・大和――― ノアとヴァーヴェルによって回収された大和は、かつての母港である呉へと帰還する。 そこで非戦派の地底人や現人類の技術者たちの手により、大規模な改修を受ける。 CIWS、対艦・対空・対地ミサイル、対潜装備、ジャミング装置、艦載機、ドローン、戦闘ヘリ、LCVP。 さらに原子炉とレールガンを搭載し、ナノマシンによる修復・火器管制システムを備えた大和は、地底人に対抗するための一番槍として再び大海原へ進水する。 かつて多くの爆撃を受けながら海を進んだ戦艦は、今度は現人類の希望を乗せて、未来の兵器群と対峙する。 ・地底人の内部分裂――― 地底人は一枚岩ではない。 過去の戦争時に放たれたEMPによってナノマシン間のネットワークは寸断され、一部の個体は自我を取り戻している。 かつての戦争派国家の意思を引き継ぎ、現人類を排除して文明の再生を目指す者。 独自に地上侵略を進める者。 そしてヴァーヴェルのように、命とは何か、守るべきものとは何かという原点に立ち返り、現人類へ寄り添う者。 現人類側の目的は、地底人の統一ネットワークを構築している首領を破壊し、敵勢力を瓦解させることである。 ・ポイント・ネモ――― 物語の終盤、地底人たちはついにロケット発射基地を築き上げる。 だが現人類は長い間、その場所を突き止められなかった。 ノアとヴァーヴェルは各地を巡る中で、ついにその場所を発見する。 ポイント・ネモ。 地球上で最も人類から遠い海域。 かつて宇宙を巡っていた人工衛星たちの墓場。 その墓標のような海域に、地底人たちは再び空を目指す塔を建てていた。 大型海洋プラントの上に築かれたロケット発射基地。人工衛星の残骸とナノマシンで補強された超大型構造物。 それは宇宙へ向かうロケットであり、資源採掘機械であり、現人類を殲滅する兵器でもある。 まさしく、天へ届くバベルの塔だった。 現人類側は、地底人のネットワークをEMPによって断ち切り、宇宙進出を阻むため、大和に核兵器を搭載してポイント・ネモへ向かう。 ミサイルでは迎撃される。核兵器のアクセス権も地底人に掌握されている。 ナノマシンで全体を覆った大和で海域を突破し、自爆する以外に手段はなかった。 それは皮肉にも、かつての大和と同じような特攻作戦だった。 ただし今度は、過去の悲劇を繰り返すためではない。 ノアとヴァーヴェルが、自分たちの運命をどう選び直すか。 それこそが、この世界の結末となる。 ・第三層のテーマ――― この世界の主題は、デジタルとアナログ、過去と未来、機械と命。 そして「自己犠牲」と「調和」である。 ノアは、兵器として生きることを受け入れていた。 ヴァーヴェルは、兵器として生きた果てに何が残るのかを知っている。 地底人は、より効率化された進化の果てに、生き物としての願いを失った。 現人類は、生身の身体と過去の遺物を抱えながら、それでも未来を取り戻そうとしている。 この世界で遙花は、「自己犠牲は美しい」という自分の中の創作的な憧れと向き合うことになる。 誰かのために自分を捨てることは、本当に救いなのか。 役割として押し付けられた犠牲を、物語は美談にしてしまっていないか。 ノアが最後に選ぶべきなのは、自分を捨てて守ることではない。 自分として、守ること。 それが第三層「鉄底械響」の答えとなる。 第一層が糸を編んでいく物語。 第二層は糸を解いていく物語だとすれば、第三層は糸を結び直す物語。 @第四層・「SAVER(せいばー)」――― インスピレーション元作品 STEINS;GATE **タイトル:SAVER** 「歴史を保存し、上書きし、保全する存在」 「時を駆け、平和のために暗躍する彼らは」 「SAVER――セイバーと呼ばれていた」 時間を遡る特殊能力を持つ者たち、通称「セイバー」が、世界の平和を守るために奔走する物語。 セイバーは、自身が「いつ、どこで、何をしていたか」を記憶、あるいは記録することで、その地点を目指して「LOAD」することができる。 LOADを行うと、セイバーの意識は指定した時点の過去の自分へと巻き戻る。 その瞬間、LOAD前に存在していたタイムラインは巻き戻され、事実上消失する。 この能力は、過去の自分が持っていた記憶を手繰る行為に近い。 そのため、自分が生まれていない時代へ遡ることはできない。 セイバーによる世界線の誘導は、一人の人間がすべての歴史を背負うものではなく、代々、世代を越えて受け継がれてきた。 セイバーが選ばれる基準は不明であり、能力の継承ルールも判明していない。 しかし、能力に目覚めた者のもとには、ある日突然「指令」が届くようになる。 それは本人の持つ電子機器への通知であったり、街ゆく人々の何気ない言葉であったり、新聞や広告、ラジオ、映像など、あらゆる媒体を通じて現れる。 セイバーはそれらの指令に従い、歴史の保全者として活動することになる。 私利私欲のために能力を使用することは禁じられている。 その規則を破った者がどうなるのか、正確な記録は残されていない。 しかし、そうした行為に及んだセイバーが現存していないことから、能力の剥奪、あるいは何らかの「処理」が行われているのではないかと噂されている。 セイバーの基本的な役割は、過去に戻り、バタフライエフェクトを引き起こし、望ましい結果へと歴史を誘導することにある。 そして、その結果が成立した地点を新たにセーブする。 ただし、過去を少し変えれば望む未来が必ず訪れるわけではない。 歴史には慣性があり、結果を書き換えるためには一定以上の「変動値」が必要となる。 場合によっては、些細な行動では足りず、大規模な介入を行わなければならないこともある。 **変動値** たとえば、ある暗殺事件が起こるとする。 もし、その直前に現場付近で交通事故が発生していれば、予定は中止、あるいはルート変更になっていたかもしれない。 しかし、何も起こらなかった。 故に、標的は予定通りその場所を通り、暗殺された。 仮に交通事故が起こり、ルートが変更されたとしても、暗殺者は別の地点へ移動し、再び標的を狙ったかもしれない。 それでは結果そのものは変わらない。 だが、もし車両が故障して出発できなかったら。 あるいは標的が突然負傷し、そもそも外出できない状態になっていたら。 その日の予定そのものが消失し、暗殺は成立しなかったかもしれない。 もちろん、その後に再び暗殺計画が組まれ、結果的に標的が命を落とす可能性はある。 しかし少なくとも、「その日、その場所で暗殺される」という歴史は回避される。 このように、結果を根底から覆すために必要な介入の規模。 それを「変動値」と呼ぶ。 主人公は、記憶を失った少年。 彼は、自身がセイバーであることを隠していた姉と暮らしていた。 しかしある日、二人は交通事故に巻き込まれてしまう。 姉は弟を庇い、昏睡状態に陥る。 弟もまた一命は取り留めたものの、目を覚ました時には記憶の一部を失っていた。 そして、姉が持っていたはずのセイバーの能力は、いつの間にか弟へと継承されていた。 そこから物語は始まる。 セイバーは過去へ戻り、歴史を改変することができる。 しかし、突然自分自身に降りかかる厄災を、必ずしも自力で回避できるわけではない。 そうした場合には、本来であれば他のセイバーが救出に向かう手筈となっている。 だが、今回に限ってそれは不可能だった。 なぜか、事故が起こる以前の時点へ、他のセイバーたちは誰一人としてLOADできなくなっていた。 その事故は、歴史上のロックされたポイントとなっていたのである。 その制約を掻い潜れる可能性があるのは、おそらく主人公だけ。 かくして彼は、自らの失われた記憶を取り戻し、姉を救うため、セイバーとして歩み始める。 なお、地震や隕石落下のように、人間の選択や行動が直接関与しない大規模自然現象は、変動値が人間の行動で届く範囲を大きく超えているため、阻止はほぼ不可能とされている。 台風や山火事など、天候や自然条件に起因する災害も同様である。 ただし、災害そのものを止めることはできなくとも、避難、警告、建築、交通規制など、人間側の選択を変えることで被害を減らすことは可能である。 「誰かを助けるということは、誰かを助けないということだ」 @第五層・「ナイトメア(NightMare)」――― オルロージェの待つ夢の世界の最下層。 厳密には層にカウントせず、レム睡眠とノンレム睡眠、現実と夢の境界線、そこに置かれた扉。 4層に分けられたオムニヴァースはステージ1~4の睡眠の深さに照応しており、 奥に行くほど現実との距離が増していく。 精神負荷量が増すとノンレム睡眠も長くなり、この奥の層で意識が留まってしまう現象が「夢幽病」となる。 最後の扉を開け、レム睡眠…浅い眠りへと舞い戻り、覚醒する。それこそが完治の手段だった。 ――― 「第5層に降りる前に通らないといけない空間がある」。オルロージェはそう告げた。 そこはわたし一人でしか行けなくて、何が待ち受けているかはオルロージェにも分からない。 それでもわたしは進むことを選んだ。 数歩歩くと、辺りは馴染みのある深い霧に包まれた。アンネがわたしの前に現れる時に纏っていたのと同じもの。 靄に包まれたその空間でアンネと向き合い、彼女が自分と表裏一体の関係、自己否定の心そのものだった事を思い出す。 アンネリース・ヴィルミー。悪役の敵のアナグラム。昔作ったただの名前。 それを背負った彼女を理解し、遙花自身が受け入れ一体化する事で、第5層に至るまでの条件を満たすことに成功したのだった。 アンネ「思い出した? 私が何者で、役割は何か」 遙花「……アンネリース・ヴィルミー」 遙花「悪役の敵。わたしが昔、作った名前」 遙花「でも、あなたが倒そうとしていた悪役は……わたしだったんだね」 自分の逃避思考と自己否定を認識する関門は今ここに開かれた。 「正解だ、創作者」とアンネは告げ、霧散する。 空間を覆った霧も晴れ、第5層の光景が顕になる。アンネのいた場所にはオルロージェが立ち、わたしの瞳を見つめていた。 ――― オルロージェと二人きりの最後の世界。 そこには何もない、ただまっさらな空間が地平線まで遠く広がっていた。 見上げると底には停滞した雲と、夜の帳が下りたように薄暗い空。 オルロージェは何の言葉も発すること無くわたしの正面に立つ。 目に映る彼女の表情はどこか誇らしいような、憐れむような、複雑な表情をしていた。 結局彼女はそれ以上話すことはなかったが、それでもわたしには何を言いたいのかが分かっていた。 わたしは覚悟を決めたよ、オルロージェ。 刹那、その場に留まっていた雲が徐に流れ出す。 夜の帷は徐々に上がり始め、朝焼けの空が顔を見せ始める。 空を反射する地平線まで広がった地面が鏡合わせの2人を映す。 高速で流れていく雲。徐々に明けていく空。 そこはまるで、遙花がいつか行ってみたいと心の奥底にひめていたウユニ塩湖のようだった。 世界は動き始めた、現実と同じ時間へと沿って。 この世界に初めてやってきたときのこと、彼女と出会ったときのこと、彼女と旅した様々な記憶。 その一つ一つを噛み締めて、瞳を合わせてわたしは放つ。 「行くよオルロージェ。わたしの名前は遙花。あなたを救いに来たヒーローよ!」 『ヒーローが現れた』。 お互いにとって、お互いがヒーロー。 最後の救いの物語が今幕を上げた。 ーーーーーーーーーーーー 絶え間なく響いていた互いを打つ音が、ひときわ大きな音を立てた後、世界は再び静寂へと戻った。 二人の拳が、同時に顎を打ち抜いた。 視界が跳ねる。 空と地面がひっくり返って、どちらが上なのか分からなくなる。 そのまま、わたしたちは鏡のような地面に仰向けに倒れ込んだ。 数秒か、数分か、何も言えなかった。 遙花「……痛い」 喉の奥から、変な笑いがこぼれる。 遙花「うふふ……いった~い……!」 遙花「本気で喧嘩したの、人生で初めてだなぁ」 隣で、オルロージェも小さく息を漏らした。 オルロージェ「ふふ。ボクもだよ」 オルロージェ「……ほら、鼻血まで出しちゃって」 遙花「もう。誰のせいだと思ってるの」 そう言い返すと、二人してまた笑った。 オルロージェ「……ボク、肉弾戦でも負けない自信あったんだけどな」 仰向けのまま、オルロージェが悔しそうに零す。 わたしは震える腕を持ち上げて、彼女に向けてピースサインを作った。 遙花「マトリックス思い出してさ。"一秒漬け"で覚えた」 できるだけ得意げに言ってやると、数秒の沈黙のあと、オルロージェが吹き出した。 オルロージェ「はは。そんな滅茶苦茶な」 遙花「夢だもん。たぶん、言った者勝ち」 オルロージェ「…キミらしいよ、本当に」 …かくしてわたし達は、お互いがずっと待っていたヒーローに救われたのだった。 ーーーーー オルロージェ「……ああ、そうだ」 遙花「なに?」 オルロージェ「車に乗っているキミと並走して走るの、結構楽しかったよ」 遙花「……」 遙花「……え?」 遙花「え!? あれ本当にやってたの!?!?」 思わず上体を起こしかけて、全身の痛みに情けない声が漏れた。 隣でオルロージェが、可笑しそうに目を細める。 オルロージェ「まさか。ボクにだって、"まだ"そんな力はないさ」 遙花「いや、さっきまで滅茶苦茶なことしてた人に言われても説得力ないけど……」 オルロージェ「見えていたんだよ。キミが見ていた景色が」 遙花「……わたしが?」 オルロージェ「うん。窓の外を、誰かが走っていた。電柱を蹴って、屋根を越えて、信号機の上で少し得意げに振り返る」 遙花「……やめて。細かく言わないで。恥ずかしい」 オルロージェ「…楽しかった」 オルロージェ「たぶん、ボクはあの頃から少しだけいたんだと思う」 遙花「オルロージェが?」 オルロージェ「名前も、顔も、声もなかったけどね」 オルロージェはある日突然完成したキャラクターではなく、遙花の空想の積み重ねから生まれた。 車窓を走る誰か。 ノートの端に描いた誰か。 物語に出すはずだった誰か。 ずっと見守ってくれていた 理想のヒーロー。 そして最後には、遙花に救われる一人の存在。 遙花「……あれ、みんなやるよね?」 オルロージェ「どうだろう。少なくとも、キミはかなり真剣だった」 遙花「やめて」 オルロージェ「カーブのたびに難易度が上がっていた」 遙花「やめてってば」 オルロージェ「トンネルに入ると、ちょっと強くなっていた」 遙花「設定まで読まないで!?」 オルロージェ「でも、嬉しかったよ」 遙花「……なにが?」 オルロージェ「キミが、世界をつまらないままにしなかったこと」 遙花「……そんなの、ただの妄想だよ」 オルロージェ「うん」 オルロージェ「でも、ボクはそこから生まれた」 遙花「……じゃあ、また走ってよ」 オルロージェ「どこを?」 遙花「帰り道」 オルロージェ「うん。キミが窓の外を見てくれるなら」 ーーーーー オルロージェ「皆への挨拶は?」 遙花「さっき力を借りてた時に、あらかた済ませたよ」 遙花「……そもそも、挨拶に戻れるの?」 オルロージェ「いや?」 悪戯っぽい笑みを浮かべるオルロージェにわたしは肩を落とす。 遙花「なによ……」 呆れてしまって、思わず笑いがこぼれた。 そっか。 オルロージェって、こんな子だったんだ。 遙花「まあでも、戻ろうもんなら、今度こそ帰してくれなくなるでしょ?」 こちらも負けじとオルロージェにいたずらっぽく笑って投げかける。 オルロージェは何も言わなかった。 ただ、少しだけ目を細めて笑っていた。 遙花「……空、明るくなってきたね」 オルロージェ「……そうだね」 遙花「……現実世界は、もう朝かな」 オルロージェ「……うん」 心地の良い沈黙が二人を包む。 遙花「…そろそろいかなきゃ」 オルロージェは止めなかった。なにも告げずただすっと立ち上がり、わたしをギュッと抱きしめてくれた。 遙花「…"またね"、オルロージェ」 オルロージェ「ああ、"また"。」 世界は一瞬にして、眩い光に包まれた。 ーーーーーーーーーーーーー 「朝だよ、おはよう。遙花」 そんな彼女の声が聞こえた気がした。 眩しさに眉を寄せながら目を開けると、そこに映ったのは見飽きた自室の天井だった。 右手が、少しだけ熱い。 今日もまた、ありふれた一日が始まる。 掛け忘れていた“時計”の声に起こされて。 ・オルロージェについて――――― オルロージェはその気になれば全ての被造物をも倒せる。 ただ、それでは根本的な解決はできない。 遙花の思い描く理想の自分である限り、彼女は完璧で物語を描くうえでもオーバースペックでないといけない。故の万能感の危惧は最も。 ただ、完璧な理想像には欠点がある。人間的な弱さ。 オムニヴァースを完成させるにはこれが必要不可欠で、オルロージェ単体では成し得ることが出来ないものだった。 また、物語に縛られていない故に世界間の移動はできる。ただ、そこでの出来事には本格的には介入できない。 遙花のように書き手でもなければそこに住まう被造物でもない。 故に、遙花が自分の手で行う必要があり、その補佐を行うのがオルロージェだった。 遙花は無意識に「自分がやらないといけない」と理解しているからオルロージェの介入が自動的に若干阻まれているというのもある。 最終戦で遙花がオルロージェと相打ちに持ち込めたのは、オルロージェが手を抜いたからではない。 第一層から第四層を巡る中で、遙花は責任、不自由、自己犠牲、選択、痛みといった、これまで目を背けてきたものを一つずつ受け入れていった。 それは、かつて彼女が「こうありたい」と思い描いた理想の自分、すなわちオルロージェの根源となったヒーロー像に、遙花自身が近づいていく過程でもあった。 オルロージェは、遙花の中にあった理想のヒーロー像が被造物として形を得た存在。 そして最終層の遙花は、その理想を外側から見上げる少女ではなく、自分自身の足でそこへ至ろうとする少女になっていた。 そのため、最終戦では遙花とオルロージェが同じ概念を共有し、「ヒーローは強い」という遙花の認識が自らにも纏われ始め、 オルロージェにのみ宿っていた出力が遙花にも流れ込み始める。 遙花はオルロージェになるのではなく、オルロージェという理想に、自分自身として到達しつつあった。 だからこそ最後の拳は、手加減でも偶然でもない。 遙花が成るべくしてオルロージェと同じ地平に立ち、相打ちに持ち込んだ結果だった。 ・エンディングの描写――――― 物語の終幕、目を覚ました遙花は右手に籠った熱に気づく。 掌を開くと、そこには見覚えのあるドリームキャッチャーが握られていた。 世界を完成させるたびみんなと一緒に編んでいたそれは、さながらARかのように存在に揺らぎを見せつつも確かに手の上にあった。 「次は君だ」と微笑むオルロージェの姿を瞼に映して、もう一度握り直して数秒胸に当てたあと、首に掛ける。 これはみんなとの忘れてはいけない思い出。一緒に乗り越えられたご褒美なんだと理解する。 そして遙花は1冊の新しいノートを手に取り、マジックで表紙に文字を書き始める。 書き終えた遙花は着替える為に席を立ち、視点が机の上へと切り替わる。 「WriteMare」。新しいノートには、そう名付けられていた。 これはわたしが作り上げる物語。そして、これから作っていくわたしだけの物語。 その後画面が暗転し、ニュースの音声が流れる。 「最近流行しているPSS、通称"夢幽病"の患者数が増加していることについて、政府は独自の見解を発表し──」 そこで物語は終わり、続編へつながる。 自分へのけじめとしてWriteMareを描き、皆の物語を完結させた遙花。 その後自分が夢だと思ったことが実は現実に起きていたことを知り、夢幽病とアイテールの氾濫に立ち向かうべく自ら動き出す。 これは、遙花の救済譚であり、同時にオルロージェが物語を持つまでの誕生譚でもある。 そうしてLightMareに至るまでの2年を描いた、外伝「RightMare」(正しくあるべき夢)へ繋がり、 時臣や和沙との出会い、そこからライトメアの設立と美莉愛との保健室での邂逅までを描く。(現在未執筆) 書きかけですが自創作の設定資料集です。 劇中一気に開示していくわけではないので、量についてはご安心下さい。 いかがでしょうか?可能な限り長く長く、詳細に1つ1つ様々な面で感想や評価を頂ければと思います。